キャリア形成支援プログラム

プログラムの目的

このプログラムは、琉球大学医学部医学科に地域枠で入学した皆さんが、卒業後に医師免許を取得し、沖縄県内の医師不足解消に貢献しながら、自身のキャリアもしっかりと築いていけるようサポートすることを目的としています。

地域医療への貢献と、皆さんの専門医としての成長を両立させるための道筋を示します。

推奨診療科

沖縄県の地域医療ニーズや、将来的に指定医療機関でスムーズに勤務できることを考慮し、以下の診療科を推奨しています。

  • 内科
  • 小児科
  • 外科
  • 産婦人科
  • 救急科
  • 総合診療

注意点:
地域住民の医療ニーズが限られる診療科を選択した場合、将来の指定医療機関での勤務に支障をきたす可能性があります。専門医登録前には、必ず沖縄県地域医療支援センター(以下「センター」)と十分に調整を行ってください。

就業年限について

修学資金等の返還免除を受けるためには、卒業後直ちに9年以上の期間、本プログラムに従って研修及び勤務を行う必要があります。

義務履行期間

修学資金(研修資金を含む)の返還免除を受けるために、指定医療機関で勤務しなければならない期間(原則4年間)を指します。

  • 原則として1年を通じて勤務を行います。
  • 合理的な理由や特別な事情がある場合は、月単位の勤務も認められることがあります。

特例措置(令和6年度まで):
特に医師不足が厳しい診療所において1年以上勤務した場合、義務履行期間が3年間に短縮されます。

キャリアパスの例(最短の場合)

専攻する診療科によって就業年限が異なります。以下に最短となる場合の例を示します。

パターン1:専門研修期間が3年間の診療科(最短9年間)

(例:内科、外科、救急科、小児科、産婦人科、総合診療、病理、放射線科、精神科)

卒後1-2年目: 臨床研修
卒後3-5年目: 専門研修
卒後6-9年目: 指定医療機関勤務

パターン2:専門研修期間が4年間の診療科(最短10年間)

(例:麻酔科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科)

卒後1-2年目: 臨床研修
卒後3-6年目: 専門研修
卒後7-10年目: 指定医療機関勤務

パターン3:専門研修期間が5年間の診療科(最短11年間)

(例:皮膚科)

卒後1-2年目: 臨床研修
卒後3-7年目: 専門研修
卒後8-11年目: 指定医療機関勤務

その他

  • 就業年限中は、原則として研修・勤務先の職員として雇用されます。
  • 傷病、妊娠、出産、育児、介護などやむを得ない理由がある場合は、就業年限を一時中断できます。
  • 原則として、就業年限内にいずれかの診療科の専門医資格を取得することとします。
  • 専門性の向上のため、指定医療機関以外の医療機関での勤務も、知事の承認を得て認められる場合があります(最長3年間)。
  • 琉球大学の医局への入局は制限されませんが、事前にセンターへの申し出と調整が必要です。

大学卒業後の研修・勤務先

センターが皆さんの最適なキャリア形成を支援し、研修や勤務先を決定します。

1. 臨床研修(卒後1-2年目)

大学卒業後、医師臨床研修マッチング協議会の定める手続きに従って、以下の基幹型臨床研修病院で研修を行います。

カテゴリーBの病院は、「離島・北部枠」の学生や離島診療所勤務を希望する方、内科・外科・産婦人科・小児科・救急科の専門医を志望する方などを想定しています。

カテゴリー臨床研修病院
A(原則)琉球大学病院
B(特例)・県立北部病院
・県立中部病院
・県立南部医療センター・こども医療センター
・県立宮古病院

2. 専門研修(卒後3年目以降)

臨床研修修了後、基本領域の専門研修を対応する専門研修基幹施設で実施します。

  • カテゴリーAの施設を推奨しますが、カテゴリーBの施設も選択可能です。
  • 地域住民の医療ニーズが限られる診療科の場合、人数制限が設けられることがあります。この場合、センターと調整が必要です。
  • 眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、放射線科、泌尿器科、病理では、指定医療機関勤務時に1人医師診療が前提となる場合があります。臨床研修中にこれらの実態を経験しておくことが推奨されます。

専門研修3年目以降に指定医療機関で1年間勤務した場合、その期間は義務履行期間に算入される場合があります。

3. 指定医療機関勤務(専門研修修了後)

専門研修修了後、以下の医師確保が困難な離島地域及び本島北部地域の病院・診療所で勤務することになります。

地域病院名病床数診療科(例)
北部地域県立北部病院327床内科、外科、小児科、産婦人科、救急科、総合診療など
北部地域北部地区医師会病院236床内科、外科、整形外科など
宮古地域県立宮古病院305床内科、外科、小児科、産婦人科、救急科、総合診療など
八重山地域県立八重山病院302床内科、外科、小児科、産婦人科、救急科、総合診療など
その他地域公立久米島病院40床内科、救急科、総合診療
地域診療所名(例)
北部地域伊是名診療所、伊平屋診療所、伊江村立診療所
宮古地域多良間診療所
八重山地域小浜診療所、波照間診療所、大原診療所、西表西部診療所、竹富町立竹富診療所、竹富町立黒島診療所、与那国町立与那国町診療所
その他地域津堅診療所、久高診療所、粟国診療所、渡名喜診療所、北大東診療所、南大東診療所、座間味診療所、阿嘉診療所、渡嘉敷診療所

診療所の配置については、総合診療を専攻した医師が優先されます。将来、診療所勤務を希望する場合は、この点を考慮して診療科を選択してください。

配置調整の手順

勤務先となる指定医療機関は、地域の医師の充足状況、皆さんの希望、医療機関の意向を考慮して選定されます。

  1. 地域枠医師、センター、指定医療機関の関係者による調整が行われます。
  2. 勤務希望が重なる場合は、以下の順で優先されます。
    • 離島診療所勤務(1年以上の専門研修含む)歴のある医師
    • 離島病院勤務(1年以上の専門研修含む)歴のある医師
    • 総合(卒業)試験の結果がより上位にある医師
  3. 最終的には、地域医療対策協議会の協議を経て知事が決定します。

キャリアプランの作成

皆さんの医師としてのキャリア形成と地域医療への貢献を両立させるため、個人ごとにキャリアプランが作成されます。

  • センターが指定医療機関の医師充足状況に関する情報を定期的に提供します。
  • 毎年7月末日までに「地域枠医師等のキャリアプラン作成に係る意向調査票」をセンターに提出し、個別面談を通じて意向を把握します。
  • 意向調査票と面談結果に基づき、沖縄県、琉球大学医学部などと協議の上、卒業時までに個別のキャリアプランが作成され、知事の承認により確定します。
  • 確定したキャリアプランは、毎年提出される意向調査シートと面談結果を踏まえ、適宜変更(更新)することができます。

就業年限終了後も、希望すればセンターによるキャリア形成支援を継続して受けることができます。